このブログをご覧のみなさん、こんにちは。
複数のチームのスクラムマスターとなり、ちょうど半年が過ぎました。今まで現場での苦労から様々なカイゼンを行ってきました。その中には独自に生み出したものやアジャイルソフトウェア開発やスクラム、TOC(Theory of Constraints)、ファシリテーション、コーチングといった既存のものもありました。
そのような様々なカイゼンを実践をする中で、“マイクロマネジメント”や“検査”、“確認”の差をはっきりと理解出来ました。
みなさんは“マイクロマネジメント”と“検査”は違うものだと思うかもしれません。一方で、“検査”と“確認”は同じものだと思うかもしれません。
しかし、チームを“検査”をしているだけにも関わらず、“マイクロマネジメント”になってしまっているという状況に私は何度も遭遇してきました。
そして、幸運にもその状況を少し離れて観察することで、そういったことを避けるためにできる大事なことがあることに気づいたのです。
それは以下のことです。
- 個人を責めない
- 手助けをする
個人を責めない
これは何か問題が起こった時や誰かが問題のある行動をしている時にその原因となる“人”を責めてはいけないということです。人は万能ではありません。そのため、時々間違ってしまうことがあります。何か問題が起こった時にその“人”を責めることによって、その人は自分は“確認”されているのではなく“検査”されていると感じてしまうのです。
こう書くと大抵の人が「そんなのは当然のことじゃないか、常に“人”を責めないことは実践しているよ」と言うと思います。しかし、実際はしていないことが多々あるのです。
“個人を責めない”、というのは例えば、スクラムや XP 等のプロセスやプラクティスに従っていない人を見つけた時に即座にその行為を問題だと断定するのではなく、“なぜ”その様な状態になっているのかを相手から“確認”をするということです。その人の置かれている背景や状態を“確認”し、その背景ではそう行動するのがより良いのであれば、その状態をムリに変える必要はないのです。なぜならば目的はプロセスやプラクティスに従うことではなく、より良いビジネス価値を顧客に提供することだからです。
手助けをする
手助けをすることは大事だよと言うと大抵の人が「そんなのは当然のことじゃないか、スクラムマスターとして常にスクラムチームを手助けしているよ」と言うと思います。ではそういった人に質問なのですが、現在の状況をただ尋ねる様なことをしてはいないでしょうか?同様に、「それはスクラムチームで決めるものだ」といった突き放す様な態度を取っていませんか?
“指示”や“命令”をしないことと、“手助けをする”、というのは外からでは一見似ている様に見えますが、その実態はまったく異なるものです。外部の妨害からスクラムチームを守ったり、スクラムチームが抱える問題を除去したり、スクラムチームが問題に気づいていなければ気づくきっかけとなったり、スクラムチームが問題を解決できないと感じていれば、フォロー(これは解決策を教えるということではありません)をするといったことなどで、スクラムチームの手助けをするということです。そして、これはとても大事なことです。
スクラムガイドにはスクラムは 透明性・検査・適応 の3本柱に支えられていると書かれています。それを知っている人は「スクラムガイドの“検査”とここで言っている“確認”は違うものを指しているのか?」と聞きたくなると思いますが、その質問への私の答えは「分かりません」です。
スクラムガイドの“検査”がどの様な意図で書いてあるのか分かりませんので、違うものなのか同じものなのかについては答えられないのです。
ただ、私がここで言っているのは検査(良いか悪いか診断するチェック)をするのではなく、状態を確認するのが大事なことですよということです。
もし、今うまくいっていないのでしたら、一度ここであげた大事なことを念頭に行動してみてください。